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The Street Beats
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 第28回掲載 ディスクインプレッション(wildさんより)
SION/SION ’86.6.21 30CH-178

 ”ストリート・ロック”ってのが、昔呼ばれてて持てはやされてた時期があった。俺の丁度一回り上の世代で、BφOWYがスターダムに駈け登ってホコ天なんか特集もあった時に。俺が昔の記事なんか読んでもどうもいまいちピンと来ない(JACK KNIFE」が渋谷西武館の間の路上でライブをやるのは納得出来たけど)。でもSIONが”ストリートから生まれた”という見出しには妙に納得出来る。別に路上での語り弾きをしてたワケじゃない。ただ歌ってる事に50年代アメリカのビート・ジェネレーションに通じるものを感じ、「吟遊詩人」って言葉はコイツのためにあるんじゃないかと思う。
 SION:本名。藤井秀樹。山口県で生まれ、高校を半年で中退。以後、家出をくり返し放浪を続ける。新宿のパンクアクセサリー屋に務めるかたわら本格的に曲を書き始める。そのうち日比谷野音での「アトミック・カフェ・フェスティバル」に出演(尾崎豊が6メートルの照明やぐらから飛び降りた日)、85年にラジオ「新宿の片隅で」という番組を務める、同年9月に4曲入り自主盤「新宿の片隅で」を出し、ライブでの動員を増やす。そしてアルバム「SION」、シングル「俺の声」でバンドが主流だった時期にも関わらずメジャーデビュー。
 放浪を続けた青年が都会に出てきて蜘蛛の巣のような地下鉄に呆気にとられ、有り金全部ブーツにツッコみ、家賃とメシ代を稼ぎ出さなきゃと”生きる事からやりなおさ”とつぶやく。新聞の広告で皿洗いの仕事にありつき、一日3.200円で食いつなぎ、やっと借りれた部屋を6日目の朝に叩き出され、俺の声で誰でも踊ると思ってたヤツが”俺の今までのやり方は松葉杖にもならない”と赤茶げた公衆電話からお袋に電話を掛ける。そして新宿の片隅で金の為に肌をカサカサにした女達やドブに捨てられたノラ犬の死骸、スポーツ新聞にも載らない愛、罵り会う街をずっと見てた。SIONの1stはだいたいこんな感じだ(サポートメンバーもこれまた凄いが)。「SORRY BABY」は缶コーヒーのCMで福山がカバーして後にボーナスシングルとして出た曲だから有名だろう、逆に泉谷しげるの「春夏秋冬」をカバーしたりして、ライブで客として来てた泉谷しげるに向かって”アンタが片足で走り続ける限り俺は片手で逆立ちし続けてやる!!”と絶叫したらしい。
 ガラガラのしわがれた声でリアルティに満ち、決して押しつけがましい事は言わず日常と狂気を独り言のように見事にサラっと歌う。音楽評論家からパンクスやサラリーマンにカリスマとは言わないが支持されるのがよくわかる。決して上手いわけじゃないが独特の歌い方で(忌野清志郎の歌い方に近いかも)、説得力がある。ちなみに俺がSIONを知ったのは昔の漫画で「はいすくーる仁義」という広島ヤクザが高校教師に転職するちょっと金八先生が入った漫画での話だった。それまで優等生だった生徒が登校拒否になり、学校を俺にはどうでもいいことなんだと悟り”人は何のために生きるだよ”って叫び、都会のマンションのアパートからベランデで「コンクリート・リバー」を掛けるシーンがやたら印象に残ったから。

 ”ブルースに体を委ねながら逆らい続けてるヤツラを思ってる”

 その後はサラリーマン風のワークソングっぽい歌が主流のアルバムを出し、以後”酔いどれ天使”のような歌が多くなったように思う(ベスト盤を年代順に聞くとそう聞こえるという俺の考えです)、そして沈黙の空白の時期。テイチクから東芝EMIに移籍して、今年に新作「SION COMES」を出した。ガーっとした勢いのまま”何度でも始めたら始まりさ!”と強くなったように思う。もちろん、ものすごい切ない歌も聞かせてくれたけど、基本的にSIONの歌はひっそりとして暖かさを感じさせてくれるものがある(「12号室」を始めて聞いた時は息を呑んだ)。心地よさよりも、やるせなさや痛さが満ちあふれてる歌もあるが、それでも時々あのガラガラのしわがれた声が無性に聞きたい夜がある。仕事でクタクタになってアパートに帰ってビール飲みながら「今日もまんざらじゃなかった」を聞くたびに”いいなー、SION...”とこのロクデナシの歌うたいを思う、特のこの1stは傑作だと考える

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