TOUGH HomePage
line
TOP line
PICK UP! line
邦楽
-Artist List
spaceTHE STREET BEATS line
洋楽
-Artist List line
インプレッション
-ディスク インプレ
-ライヴ インプレ
-バンド インプレ line
ライブハウス line
情報の投稿
The Street Beats
-公式ページ
by Tough Network.
space-BEATS HomePage
space-TOUGH HomePage

 第58回掲載 ディスクインプレッション (森ちゃんより)
THE STREET BEATS "魂が求めるもの" 2000.9.20 (UKCK-1001)

 私には物凄く残酷なアルバムだと思った。最初聴いたときは、ただ渋いなと思って無邪気に喜んでいたが、何回か聴いたら、もうどうしようもなく打ちのめされた。涙が出たりして、みっともないくらい気分が沈んだ。

100人いたら、100通りの感じ方があるアルバムだと思う。100人いたら、100通りの人生があるからだ。THE STREET BEATSの唄は人の生き方に訴えてくる。「みんなが共感できる」というウソくさい商業音楽とは違い、それぞれが「自分自身」でその世界を共有しようとする。その、唄と自分とのせめぎあい。ここにビーツを聴く意味があると思う。

流行りの「癒し」という日本語が嫌いだ。その受身の発想がどうも好きになれない。受身の姿勢が成長を生むことはありえない。ただ、消耗した自分から元の自分に戻るだけだ。思えば、「癒し」ほど無責任なものはない。積極的に自分の心を通わせてそこから何かを得なければ、時間の無駄・金の無駄だ。「魂が求めるもの」というタイトルに、OKIのメッセージを感じた。受身ではなくて、こっちから積極的に求めていく、という。当然、心を通わせようとすれば、痛みを伴うこともあるだろう。しかし、痛みを伴わないところに成長はない、と思うのだ。

今回のアルバムは全体的に、闇とか傷というものをテーマに持っている。自分の闇とか傷 から目をそらすことなく、それをぶち抜いて光に向かって進んでいけ!というメッセージをあの手この手で訴えてくる。その根本にあるのは、徹底した自省の精神だろう。自分と向き合うのは、実は物凄く残酷なことなのだ。夢とか理想とかいうものと現実との差を直視したとき、「時に俺は迷路にはまり 闇に囚われるからめとられ足をすくわれ 無力な自分も知る」(「魂が求めるもの」)。その絶望感を越えて灯り(光)をくれるのは、「魂が求めるもの」だと言っているのだ。「道を標すのは 唯ひとつだけ 魂が求めるもの」なのだ。実際生きているのは自分だから、痛みや苦しみを感じるのも自分、達成の喜びを感じるのも自分、結局全部自分に返ってくる。だからこそ、多少の痛みを伴うとしても後悔のないように自分の「魂が求めるままに」進んでいかなくてはならない。人からもらった幸せなんて長続きしない、自分でつかんでこそ、だ。残酷ではあるが、同時に大きなやさしさを感じる。最高だ。

個人的にお気に入りなのが、「刹那の楽園」だ。最初の「夢から醒めぬままに 歩き続ける 一人」のところに、浪人時代に読んだ清岡卓行の小説の一節を思い出した。戦時中、兵役を避けるために帰省した、当時の日本領・大連の地で当時の社会情勢ゆえにフランス文学者になる夢を捨てようとしていた彼がある瞬間に再び自分の夢に向かう決意をする部分の描写がとても鮮烈でよく覚えている。

「夢からではなく、現実から目覚める」

最初の大学受験に失敗したとき、自分の将来への絶望と焦りから、受験をやめて専門学校に通う決意をした。結局もう一度受験をして落とし前をつけようと思ったわけだが、この一節が自分を肯定してくれたみたいでうれしかった。あれが私を受験に本気にさせた。「刹那の楽園」は、18歳の春の自分を思い出させる。あの時あんなに悩んだ。人生であれだけ悩んだのは初めてだった。自分の将来を初めて本気で考えた。その時のことを鮮烈に甦らせてくれる。それは、とてもつらい思い出だが、同時に今一度喝を入れてくれる。前に進もうとする力をくれる。

このアルバムを、一種のカタルシスだなんて普遍的な理屈をこねるのはふさわしくない、と思う。結局自分との関わり合いの中でしか語れないのだろう。こんなことを言っちゃあ、身も蓋もないか。ともかく、私にとってはこれは財産とも言うべきものです。「魂が求めるもの」、なんていいタイトルなんでしょう。そして、「魂が求め」てその先にあるのは、やっぱり「BOYS BE A HERO」ってことなんだろうか。よく考えたら、頑固な人だ、OKIさんは。その世界はどんどん深くなっていくのに、「自分のフォームで壁を突き破ってheroになろうぜ」という基本的なattitudeは全然変わらない。どんな世界の人でも、自分に何かを課して生きている人っていうのは美しい。

barnner barnner barnner barnner
line
(c) Copyright 1994-2011 Tough Network. All rights reserved.